アル男からの助言、フランチャイズ本部との取引には気をつけろ!

アル男は一通の封書を受け取り中の手紙を読んだ後、おもわず笑ってしまった。

嘘だろ?

意味がわからない?

そう、この怪しげな女性のようにただ笑うしか・・・

なんでだよ、

そして徐々に怒りがこみ上げてきた。

人情というものがないのか!

「現在、アル男様との間で締結中の建物賃貸借契約につき、
まことに勝手なお願いではございますが、月額賃料を
◯◯円に減額して頂きたく本書面にてお願い申し上げます」

愛犬との散歩帰り。
アル男が、いつものように玄関ポストに届いていた
封書を開けるとこんなことが書かれた一通の手紙が。

差出人は、

えーと、

ん?

アル男は目を疑った。

その差出人が、もうかれこれ10年間超の付き合い
になる某業種フランチャイズ大手、イレブンPM
(仮にこう呼ばせて頂く)だったからだ。

普段から温厚なアル男でもこの時ばかりは、
はじめこそどう表現して良いのかわからず思わず
笑ってしまったが徐々に怒りがこみ上げてきた。

まぁ食べていけるし、まぁ良いか。のんびり生きる。

アル男はいくつかの財産を所有しそれを貸して生活していた。

イレブンPMが目をつけたのもそのうちの一つ、
青空駐車場として使っている土地だった。

毎年、固定資産税が高いなぁと思いつつ、
まだ春を感じない2月の終わり頃、
毎年同じ税理士にお願いし確定申告を済ませていた。

この税理士は会う度に「税金払え」としか言わない嫌な感じのヤツだ。
出来れば会いたくない。いつもアル男はそう思っている。

でもアル男は他の税理士を知らない。というか友達がいない。
周りにいるのはなぜか口うるさい親族とかわいい愛犬チワワだけ。

まぁ、税金は高いと思うが毎年なんだかんだ食べていけるし、

まぁ、これで良いか。

こんな調子。
アル男は他にも幾つか金を生む財産を所有し大学を出て
からというもの仕事という仕事に就いたことが殆ど無い。

その財産を遺してくれた父。

父の相続税もあの税理士が計算したが高かったなぁ。
思い出すたび文句をいうのが口癖である。

□ アル男はもう15年ほど前に胃癌で亡くなった父に「勉強をしろ!」と子供の頃から言われ続け渋々大学までいった結果、おかげでなんとか地元の市役所に勤めることができたのだがどうもまわりの人間関係に馴染めず1年も続かなかった。
□ 職場の忘年会に参加した記憶がないので9ヶ月もいなかったのではないか。アル男も50歳を超えてそんな昔の記憶すら怪しくなってきている。

イレブンPMの担当者が優秀に見えたから・・・

たしか父が亡くなって数年後。

アル男でも知っているイレブンPMという会社の本部から
いかにも仕事が出来そうな若い2人組の男が訪ねてきた。
そのうちひとりは更に若い。大学を出たばかりに見えた。

不思議な話、そこからよく覚えていないのだが、
誰にも相談せずになにやら契約をしてしまった。

理由はその若い男達がなにより信用できそうだったから。
アル男の直感だ。

なにやら契約後に一応、税理士に電話をして報告したが、
「良いんじゃないですか」との素っ気ない返事。

まぁ、止めろといわれなかったし、間違っていなかったか。
妙に安心したのを覚えている。

イレブンPM本部のその若い担当者は綺麗な提案書をまとめてきていた。
(しゃべるのはいつもその仕事が出来そうな若い担当者。更に若い男はいま思い返せば最初に挨拶をしただけでその後、声を聞かなかった)

その提案書はまとめるとこうだ。

・要はわたしの土地を貸してくれと言っている。

・そのうえお金を振り込んでくれるのでこちらで建物を建てろと。ただしこちらの言うとおりに設計してくれ。公正証書はつくる。

・そのお金は返済しなくて良い。(後に理解したのだかその振り込まれたお金は正確にいうとイレブンPMからの受取賃料と相殺される)

・いまの青空駐車場として貸すよりもお金が増える。

あまり計算が得意ではないが「受取家賃」から「固定資産税」を引くと他には何も経費がかからないというからなんとなくだったがお金が増えるのが理解できた。

そういえば将来の修繕費の取り決めは何も言われなかったがまぁいいか。公正証書もつくると言ってくれている。

良かった、本当に土地を持っていて良かった。

「ありがとぅ・・・」

アル男は空を見上げ、土地を遺してくれた父に小さな声で御礼を言った。

〜後編はこちら〜

大企業、強国からはただ逃げる、従うという方法しか道はないのか。 ビジネスとは「血」こそ流れないがまさしく現代における戦争である。 ...