配偶者居住権で節税?全てを理解できないなら利用してはいけない

「まだ海で遊びたい」とグズる子供がいた場合

大人はその場でスマホを開き
映画「ジョーズ」を観せてあげれば一発だ
間違っても前日に観せてはいけない

…ではなく、規制の多い制度は
子供でも分かるように説明しないといけない
理解出来なければ使うな!

配偶者居住権を検討される方々へ

コロナですっかり影を潜めいてしまいましたが、2020年4月1日以降発生の相続から民法改正により「配偶者居住権」(短期もある)なんて制度が出来てしまいました
ちょうど昨日、まもなく終わる相続税案件の遺産分割協議書をiMacで打ち込みながら「将来、誰がこんなん利用するか」とつぶやく。


最初に申し上げます。現状の制度であればわたしは利用させません。

規制があまりにも多く、将来のことなど誰も分からないから。節税してくれないのなら話にならん!とこれで相続税案件がボツになってもそれはそれで構いません。


・登記簿を汚してはいけない
→我が一族は仲が良くありません、
→我が一族は節税と聞けばなんでも実行します、
と宣言するようなもの。それでも登記して宜しいですか?

※一昔前に流行った上場企業の買収防衛策、あれも似ていて経営者自らの「無能」宣言です


・業者がやりたいだけ
→業者にそそのかされ、なんとなくその気になっていませんか?
これ、シミュレーションするだけでも大変な作業です。それを無償でやってくれるとしたら気をつけて欲しい。何か下心がある。(その後のアドバイス料が高いことでしょう)本当に面倒なのだ。弁護士、司法書士、行政書士、税理士だからといって油断してはいけない。彼ら彼女らはもっともらしいアドバイスをしているように映るかもしれないが、それは親切心ではなく、食い扶持を探しているだけかもしれない。


この制度は2013年9月、婚外子と実子の相続権が平等であると最高裁が認めたことから見直される。何が起こりえるかというと、相続人が婚外子と配偶者しかいない場合、配偶者が自宅から追い出されるかもしれないという。被相続人さんよ、こんなつまらないことで揉めないよう、もっと財産を残してから逝ってくれ。天国へそう叫んでおきましょう。

いや、そうでないから揉めるのか。であれば遺留分侵害額請求権の計算方法で、自宅分を特別な計算式にあてはめて、揉めないようシンプルな改正が出てきて欲しい。


ごく普通の家庭では遺言書は書かないし、業者を入れなければたとえ遺言書を作成したとしても配偶者居住権の内容まで書けるだろうか。

また相続人が婚外子と配偶者しかいなく、仲が良くなければ分割協議がまとまるわけがない。


仮に設定出来たところで、
・将来売れない(売っても配偶者居住権は消滅しない)
・放棄できない(高〜い贈与税を支払うのではあれば可能)

他にも固定資産税、修繕費等の負担問題。またこの先、天災などによりやむを得ず引っ越す場合は?運良く収用にあたったら?認知症になりそれが何十年も続いたら?


相続税の申告時、配偶者居住権にも小規模宅地等の特例が使えます=節税になります!だけを信じ、安易に設定してはいけない。また「そもそも相続税は発生しないけど利用しちゃった」という喜劇は聞きたくありません。

「あの時、高い報酬を支払ってまでなぜ利用なんかしたのだろうか」


近い将来、相続人の皆様がそう嘆くことがないよう沖縄より祈っております。