事情があって多くの税理士は保険解約を勧めない。退職金目的保険は節税にならない。

コロナがなければ今、この時間はインドのムンバイという街に滞在している予定でした。現地の様子を聞く限り、当面行けそうにもありません。

保険会社のビルを見ればサルでも分かる

生命保険に相当な金額をツッコんでいる社長さんたちはピッカピカの生命保険会社のビルを見て感じないだろうか。相当儲かっているな、と。

東京の一等地にあれだけの不動産を持っていれば小学生でも、いやサルでも分かる。でなければ相当ニブいのか、保険会社のカッコイイお兄さんやキレイなお姉さん、そしてなぜが保険会社に向かってニコニコしている税理士に上手く丸め込まれたかのどちらかだろう。「節税しながら退職金を確保〜」なんていって簡単なシミュレーションでもみせられたか。TKCという会計ソフトを使っている税理士事務所あたりだと上司から「企業防衛なんちゃら」というもっともらしい理由で顧問先に大同生命保険の商品説明しなきゃならんので赤字企業を担当している若手担当者なんかはキツイのだ。(保険加入する余裕資金なんかねーよ!と)※経験談

 

退職金目的保険は節税になる、のウソ

① 毎年保険料を払いながら節税
② 社長の退職時に保険解約して
③ 同時に退職金も支払えば法人税負担なし

以上、簡単に説明出来る商品がある。いやあった、が正しい。実はこの説明には大事な続き ④ がある。

④ そもそも保険に加入していなければ退職金支給時、法人税をおもいっきり圧縮できる

機会があれば是非、④について保険会社か顧問の税理士に直接聞いてみてください。

① 毎年保険料を払いながら節税〜
と言いますが保険加入せず税金を支払ったほうが手元にお金が間違いなく残ります。

② 社長の退職時に保険解約して〜
「解約返戻率」というものがありトク(?)する期間とソンする期間があります。でもね僕の経験が浅いのか、この返戻率と毎年にらめっこして「よし、今年退職する!」なんて社長さんに出会ったことがありません。そもそも中小企業の社長さんは言葉悪いですけれど死ぬまで社長(会長)、現役なのです!…なんて力説しても定年制度のある保険会社の職員さんには分からないのでこの辺りでやめておきましょう。

 

「契約貸付金」は無金利でも借りない

契約者貸付金ってのがあります。
これは既に退職金目的の生命保険に加入しているのであれば、現時点で解約する場合の返戻金相当(以下)を貸しますよ、という制度です。返戻金が担保に取られているわけですね。あれ?コレってそう、銀行さんがよくやる(やっていた)定期預金を担保に貸す、と同じこと。で、向こうさんが絶対に焦げつかないビジネスなのにそれに利子をつけるなんて…数学、というか算数が分かれば本当におかしな取引だということに気付くハズですが。

それをいまのコロナ騒動下、各種保険会社さんが仏に生まれ変わって(ごく短期間ですが)「無金利で貸してくれる」というではないですか!なんて優しい〜〜


と、まさかアナタ、本当にそう思っていないでしょうね。コレ、本当は加入者のミナ様がいっせいに解約にでも走ったら商売上がったりになるので渋々やってるだけですから。だったら最初から無金利で貸しとけよ、という話。(損害保険の店舗総合保険系、感染症を原因とする…にも色々言いたいことがあります)

でも当座の資金が足りない…という社長さん、もう解約したらええがな。「なに?保険会社の方がいまなら返戻率が悪いので解約しないで借りた方がおトクと?」それでも解約したらええがな。同じ金額が通帳に入りますって。商売、人生、時に損切りも重要です。そのうえで掛け捨ての定期保険にでも加入し直してください、これで万事うまくいきます。

 

税理士も解約を勧めない

ここまで書けばおわかりでしょう。そう大抵の税理士事務所は隠れ保険代理店。なかなか解約を勧めない、勧められない代理店側の事情があるのです。

勤め人時代、なんの苦労もせずとある担当先の大型保険を契約してしまったら軽自動車が買えるくらいの報奨金をもらってビビったことがあります。(保険料の原価って…)嬉しさよりも「あぁ、コレに慣れたらダメだな」いまでも覚えています。えぇ僕は地味な税理士事務所の職員でした。

 

保険を全否定しているわけではない

僕は保険という商品を全否定しているわけでなく、自身でも加入しています。少額ですが。(月々3,600円→交通事故による死亡で2,400万円、入院保険が1日目から1万円、という「こくみん共済」年に1回、返戻金があり2019年は実質月額2,100円)

あと、事業をしているのであればそれ相当の保険は必要。僕であれば税理士賠償責任保険、店舗、テナントを借りていれば火災保険は絶対必要です。事業での借金が多額であれば後継者のためにもやはり相当の保障が必要でしょう。

安易に「節税」という名のつく保険商品に手を出してお金を貯めたという経営者を僕は知らないよ、という話。ほんと不思議なもので相当稼いでいる社長ほどその手の生命保険には加入していません。自分の退職時期はいつがよいのか?などと返戻率とにらめっこする社長と、常に稼ぐことを考え続ける社長。答えはいうまでもありません。