税理士業務の【在宅勤務】は、
どこから、どの作業から、税理士法違反になるのでしょうか。
その線引きは非常に微妙なものです。
巷では在宅勤務を積極的にすすめる本、
サイトなどもよく目にしますが、
ひふみ税理士事務所では、
2018年2月の独立前後で色々とお勉強をした結果、
現在の税理士法では在宅勤務はNG、拡大解釈されたときにアブナイと判断し、
・スタッフNさんには我々がいるときに自宅兼事務所まで来て頂き、
(我々の旅行中はお休みというカタチに。いつも調整してくれてありがとうございます!)
・全て事務所内で作業し、
・紙で保管すべきものは紙で保管し(事務所の端の方へ隠すように)、
・その他資料を電子保存しております。
(電子帳簿保存の承認申請はしていません。まだ手間がかかると判断)
顧客から預かったデータを電子化、郵送し、
在宅勤務者(雇用・外注)へ送り(又はクラウドサービスで共有し)、
会計資料、税務申告資料の作成依頼はしておりません。
本当はこの方が効率的ですし、
時代の流れでしょうが、
税理士法の改正は未だ、です。
というか、支店を何店舗も有する大型税理士事務所のお偉い様方が積極的にこの流れを望んでいるとは思えません。
これは自分たち以外が儲かるのがけしからん、という器の小さな話ではなく、ただでさえ大型事務所。在宅でも税理士業務を!となると本当にどこで誰が何をやっているのか分からない=いつ税理士法違反になるか分からない、という「怖さ」からというのが本音でしょう。
税理士業務停止処分を甘くみない
国税庁のサイトの中にこんなページがあります。
平成30年以降、具体的な処分内容が誰でも見れるようになりました。
殆どは先生自身のしょうもない話、弁解の余地のない案件なのですが中には「名義貸し」に関する処分もあります。
これまで税理士業界で働いてきて実際に処分(業務停止)をくらってしまった先生を見たことがありますので処分内容を読んでは襟を正したりもします。
国税は甘くありません。初回は注意だけでしょ?なんて軽口を叩くのはやめましょう。またネット(SNS、ブログ等)も必ずチェックしています。
税務調査の度、わたしのブログ読んでいますか?と試しに聞いております。お陰様?で、いまのところ皆様が読んでいる、とのこと。
そしてこれって大丈夫なの?と悩んだら最寄りの税理士会、ではなく国税局(沖縄は国税事務所)に在籍する税理士専門官を訪ねましょう。(税理士会では判断出来ないことも多いので)
わたしは独立前にすったもんだがあり、そして確認しておきたいことがあったので独立後に時間をとっていただき、沖縄国税事務所の税理士専門官と面談しました。
他の相談内容はブログ上では割愛しますが「名義貸し」を舐めてはいけません。
みんながやっているから大丈夫!は大丈夫ではない。
昨今、残念なことに沖縄ではニセ税理士行為が多発し、この数年はどの研修に参加しても(わたしだってちゃんと研修に出ています、ネット上も含めて)第2部などで税理士専門官が登壇し、事例発表されます。
どこから名義貸しと言われる?
Q1
職員ではない第3者が申告書まで作成し、税理士はそれに署名するだけ。
→これが典型的な名義貸し、アウトです。
それではQ2
職員が申告書まで作成し、税理士はそれに署名するだけ。
チェックをしない。
→これも名義貸し=アウトになります。
補助者である職員が手伝ったものを、
税理士が確認、完成させなければいけません。
で、ここがいわゆるグレーゾーンであり、どれだけ守られているのか。
税理士専門官の税理士実態調査では実際に税理士先生へ「この顧客はどういう業種ですか、社長はどういう方ですか」という、ごく普通の質問を投げ掛けてきます。
次に、やりとりした書類(受付簿)の提示を求めます。
ここで答えきれず、受付簿がなければ・・・
とはいっても当たり前といえば当たり前のこと。
税理士という仕事をやっている以上、
自分の顧客のこと、社長がどういう方か分からない、
となれば税理士専門官がどのような処分をするかは火を見るより明らかです。
入力代行と税理士業務
こんなの税理士事務所以外の方からすると見分けがつきません。
いえ、わたしだって線引きしろ!と言われても。。。
・税理士事務所の総務・庶務
・顧問先への請求書発行
・給与計算
・支払・振込作業
・ブログ代行
・セミナー資料作成補助
これらを在宅へ外注する分には税理士法に触れません。
それでは通常の入力代行は?
税務顧問とは別に、
税理士が所有する別法人(会計法人なんて呼んでいます。うちは会計法人を所有していません。税理士とは離れた別法人の設立予定はあり)で入力代行業務を別途契約する。
よくあるパターンです。
※ ちなみに独立前に会計法人を有する事務所で働いていると税理士登録時、面倒なことになります。社会保険対策の一環でもありますが代表者はともかく従業員まで巻き込むのはわたしは好きではありません。下記書類はあくまでサンプルです。
別法人(会計法人)と顧問先との(会計入力代行)契約だから=税理士法に関係ない…とはならない、というのが本日時点でのわたしの、いや散々見せられたニセ税理士行為研修での見解です。
その会計法人と税理士事務所の住所が同一であればギリギリ税理士法違反(2箇所事務所の禁止)にはならないよ、とのこと。つまり、当局は会計入力代行は税理士業務の一環であると示しています。
それではギリギリどこまではOKか?
わたしなりの見解ですが、
税理士→資料の送付(データ共有)、
在宅→入力作業、
税理士→データを受け取る、
ここまでがギリギリ(セーフ?)でしょうか。
(わたしは保守的なのでやりませんが)
ここから先、税理士が入力内容をチェックし、
・在宅へ消費税区分、科目の変更を指示
・在宅がそれを確認、追加修正を行う
ここまでやってしまうとこれは間違いなく税理士業務であり、
2箇所事務所で税理士法に違反、処分をされても反論できません。
ですから在宅へ「会計入力代行を振る」ということは
税理士法違反か否かでまともに争った場合、
残念ながら現時点で勝ち目は薄い(無い)と見積もっています。
この在宅問題
今後、資料紛失・漏洩・ニセ税理士行為などの
問題が起こらず全国で広がり、既成事実化され、
シレッと税理士法が変われば嬉しいのですが。
というわけで今どき時代遅れ感が半端ないですが、
(OKであればうちも在宅でいきます!)
みんながやっている、
マニュアル本も出てきたから大丈夫、
ではなく、
新しい取り組みで、
みんながまだ当局に言われていないだけ、
ということは覚えておきましょう。